Friday, November 23, 2012

アメリカの親切

数年前のこと。

フリーウェイを間違って降りたはいいが(いや、よくない)、戻る乗り口がみつからぬまま、見知らぬ町を俳諧(俳句のもと作ってどうする)、一人徘徊迷走する夜中。
少し前まではGPSも普及していなかったもんで、頼れるのは地図ばかり。しかし、自分がどこにいるかも判らないときは、あぁ、地図、役に立たず。やっと見つけたコンビニに駆け込み「私は今どこにいるのでしょう?」とタワケタことを聞けば、唇の色が真っ黒な女子が「どこに行きたいの?」と聞いてくる。行き先告げれば、隣に立つ、ピアスいったい顔だけで何個つけてるの?男子に「地元でしょ、教えてあげなよ」。道案内を始めるピアス男子に、またもや唇真っ黒女子、鼻歌混じりに「長いっしょ、紙に書いたら?」。そして、「あっ、そっか」と素直にうなずくピアス男子。

あまりにもウレシクて、アメリカ生活のお守り代わりに大切に保管していたそのメモ。

Right out here.
(ここを右に出て)
Straight threw (thru=through*) the light.
(信号を越え)
Left onto Central.
(セントラルへ左折)
Straight threw 2 lights.
(信号を2つ越え)
Left onto Chicago.
(シカゴへ左折)
Chicago will turn into Arlington.
(シカゴはアーリントンになって=道の名がかわる)
91 will be on your left.
(91号線は左手)

*"Through(~を通って、過ぎて)"の省略形は"thru"。"Throw(投げる)"の過去形"threw"と発音が同じで、書き間違いやすい単語の一つです。*


いや、わかっています。親切も、親切じゃないものも、どこにでもあって、それはアメリカにも日本にもあるってことなんざ。しかし、異国で暮らしておりますと、一般論がある意味実はなかなかに難しく、断片の知識で断片の経験を、ついつい一般化しがち(なAZSS)なんざます。だから書いちゃいますが、「あれ、セントラルってどうやって書くんだっけ?」と言っていた、ピアス男子よ。君は単語のスペルなんかよりも、もっと大事なもん知ってるんだね。唇真っ黒女子、あなたプール上がりで寒かったんじゃないよね?アメリカの素直な親切を、どうもありがとう。


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